2011.04.25
●レストラン南葵文庫その2 (ヴィラ・デル・ソル 静岡県熱海市)
ヴィラ・デル・ソルに宿泊し、温泉につかってから朝食のため再び南葵文庫へ。
窓際の席で少々眩しいものの、海も波間が輝き、波の音を聞きながらの朝食は、贅沢の一言。
テーブルには絞りたてのオレンジジュースとヨーグルト。
続いて地元の契約農家で採れた野菜のサラダとクロワッサンなどパン3種。そしてイチゴとマーマレードのジャム。ジャムというよりコンフィチュールという響きがこの雰囲気には似合います。
しばらくしてクラムチャウダーとスクランブルエッグにショルダーベーコンがきました。
クラムチャウダーは滋味が豊か。
左の画像、中央の椅子がもたれる部分がないのがお分かりでしょうか。今では珍しいタイプのものですが、背抜きになっているのはこの建物が建てられた当時、ご婦人の衣装は後ろにボリュームのある衣装だったのでこのような背抜きだったようです。
当初、こちらではほとんどの椅子が背抜きで揃えられたものの、お客が使いにくいため、たいこを後でつけて背もたれを作ったそう。ちなみに、日本でレプリカを作ると1脚15万円くらいだとか。
使われる前のテーブルには玄関でみた「ヴィラ・デル・ソル」のロゴが入ったお皿が並べられています。その上の青いのは兜を組み合わせた紋章デザイン。
腰板をよく見ると、1枚板で彫り下げてあります。今は合板で貼り付けることが多い中、こんなところまでお金をかけた造りになっています。
会議室(メインダイニング)と庫主室の間はドアではなく引き戸になっています。
通常開けたままになっているので気が付きませんでした。この引き戸のおかげで開放感があります。
移築のため解体するとき、床下や天井裏にコークスがたくさん詰められていたとのこと。除湿・防音?
ほか、現在は空調設備が整っていますが、窓の上を開けると、とても風通し良いそうです。
庫主室からはバルコニーに出ることができます。
館の維持には気を遣っていらっしゃる一方で、屋根はスレートで滑りやすく従業員も手入れは危なくて手が出せないのだとか。もし悪戯にのぼってスレートが割れてしまうとそこから雨漏りする可能性もありますから仕方が無いものの、落ち葉が樋に詰まり、軒下に水が入ってきてしまって大変なのだそうです。
ほかにも、海岸近くにあるため、潮風でどうしても外面は傷みやすい模様。釘の打ってある部分は錆び、ノブも内側と外側では全く違う風合。
ヴォーリズ研究の第一人者・山形政昭先生の講演会で日本人にはペンキを塗る習慣がなくて、それでヴォーリズは板張りではなくモルタルを使うようにした、というような事を話されていましたが、ここもペンキは塗り直してないみたいです(^_^;
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●ヴィラ・デル・ソル(旧南葵文庫 静岡県熱海市)
●レストラン南葵文庫その1 (ヴィラ・デル・ソル 静岡県熱海市)
(今日のおまけ)
建物を後にして、敷地を出てすぐ隣の階段から海光町へ別荘散策に向かいました。
この辺りは別荘のメッカで野村證券創始者の旧別荘(非公開)などがあります。
3階建て?くらいの大きなもので、なんだかシンデレラ城のよう。
熱海にはかつて他にもいろいろと素敵な建築がありましたね。
ヴィラ・デル・ソルで熱海育ちの従業員の方が、壊された熱海万平ホテルは、学校の美術先生にあそこの柱をよく見てと言われたり、幼稚園生の頃、蜂須賀別邸でチューリップを見せてもらったり、猿を放し飼いにしていたことを話して下さいました。
蜂須賀別邸というと、藤森先生の「建築探偵東奔西走」にも載っていますが、蜂須賀正伯爵は博物学者だったようで、なんだか猿を飼っていたというのも納得できるような。。。(ちなみに、蜂須賀の三田の洋館には猿のタイルがありました)。
なお、ここの別荘、伯爵は妻子を捨てて愛人と暮らしていたのだとか。・・・むう。
(参考文献)
建築探偵 東奔西走 (1988/05) 藤森 照信、増田 彰久 他 商品詳細を見る |
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