●生駒ビルヂング(生駒時計店) 
明治初期から輸入時計を扱っていた生駒商店(のちの生駒時計店)。昭和になって、店を構えていた御堂筋の拡幅工事で立ち退きしなきゃならない&堺筋出張所のあった平野通も拡幅工事で軒切りの目にあう、と踏んだり蹴ったりな状況になり、「えいっ、そんなら思い切って」・・・と思ったかどうかは分かりませんが、出張所のあった方に新しい本店ビルを建てることにしました。
それが今の生駒ビルヂングです。

生駒ビルヂング 全体

今回はオーナーさん直々にガイドして頂き、楽しいお話をいろいろと聞けました。

設計を手がけた宗建築事務所は大阪では大御所の宗兵蔵の事務所だそうです。正直なところ、宗兵蔵って言われてもピンときませんけど、難波橋なんかも宗兵蔵。ふ~む。
ま、実際の生駒ビルヂングは、本人ではなく事務所の若手がやったみたいです(後に京都工芸繊維大学の学長となる大倉三郎が原案を作成、脇永一雄が実施設計)。

建築費は約15万円、大正時代の土地購入費が約20万円。
窓台にテラコッタ、鷲の彫刻、スクラッチタイルの外壁と贅沢な造り。
見所は時計台とその下に縦に並んだ窓。夏は街路樹で分かりにくくなるけれども、通して見ると振り子時計のデザインになっています。夜は明かりがついてより分かりやすいかも。
生駒ビルヂング 鷲

生駒ビルヂング 1階
1階は、イタリアンバール「ムウムウ&イル・バール・セントラルバンコ」とレンタルオフィスの出入り口に分かれています。無断での内部見学はお断りのようですが、バール利用の場合、奥のトイレを借りることになるので、その際にでも1階のチョコレートフォンデュみたいな手すりの階段やステンドグラス、エレベーターなんかが見るとはなしに見られますね。

生駒ビルヂング 壁階段はふんだんに大理石が使われています。専門家から見ると、3億年くらい前の大理石らしいです。

なお、現在バールとオフィスフロントを仕切っている壁は、阪神淡路大震災のあと耐震補強のため作られたもの。
12年くらい前までは上に時計店の事業所や作業場があったそうですが、今は外商のみ。


生駒ビルヂング ステンドステンドグラスの位置も変わりました。店舗だったときはショーケースの上、日本で言う欄間の位置にあったもの。昭和の頃はそういったものをあまり大切と思わず、改修してしまってオリジナルを保管しておこうという発想もなかったそうです。

画像左上にあるかまぼこ型のステンドグラスも昔と位置が違います。上の「G]は完全オリジナル。
「I」は1950年代にはもうなくて復元したもの。このローマ字、G・Iは創業者・生駒権七のイニシャルです。ちなみに生駒商店、木造の頃は「大権堂」という屋号でした。

生駒ビルヂング 照明





今はオブジェに見えるアールデコな物体も、上下さかさまにしてみれば実は照明器具。改装のとき分かっていれば使ったのに、倉庫の一番奥に閉まってあって後から気付き、今はオブジェに。
とりあえず錆びないように塗装してありますが、もともとは濃いモスグリーンとのこと。この先また改修することがあれば本来の用途に戻す可能性は高いようです。

生駒ビルヂング エレベーター

エレベーターも素敵なのですが、残念ながら、今は裏に鉄板をはってあって動きません。
1950年代にはもう壊れかけていて、ちゃんと階で止まらず、2階と3階の間で開く、みたいな結構デンジャラスな状態だったそう。昔は二重蛇腹の扉だったみたいです。

生駒ビルヂング 金庫エレベーター脇の時計は、1930年にビルを建てた時に、標準時計として時計塔の機械といっしょにロンドンからきたもの。ベンソンという会社のものですが、会社はもう潰れてしまったそうです。会社はなくなっても時計はまだ時を刻み、存在証明を果たしているというのが感慨深い。・・・って、あ? あの時計、動いていたっけかな。

←奥にはかつての金庫が。高級品、預かり品、宝石などをしまってありました。あ、今は貴重品は置いてないです。

オーナーのご好意で時計塔も見せて頂きました↓
塔の時計はかつて3方向にありましたが、ビルができた南側は今は針を外しています。今は8時・12時・16時・20時の4回、デジタルで録音したものを流してるそうです。

生駒ビルヂング 時計台

生駒ビルヂング バール見学後、オーナーさんも交えて1階の「ムウムウ&イル・バール・セントラルバンコ」でコーヒーブレイク。
こちらの内装はビルとは直接関係ありませんが、ビルの雰囲気に合わせてあって、違和感ないです。
ところでバンコって立ち飲みって意味ですよね。イタリアだと立ち飲みとテーブルに着くのでは同じコーヒーでも値段が変わりますが、ここも立ち飲みだとお安くなるのかしら。。。今回はグループの方が一括注文してくれたのでコーヒーの値段自体もよく分からないのですけど、「バンコ」ってわざわざお店の名前に入っているのは珍しいですね。

生駒ビルヂング 金庫マーク←金庫にあった標章。大谷製。

(建築データ)
竣工 :1930年(昭和5年) 、改修2002年(平成14年)
所在地:大阪市中央区平野町2-2-12
設計 :宗建築事務所、改修・Y's建築設計室
構造 :鉄筋コンクリート造、地上5階、地下1階
備考 :国登録有形文化財


●旧武田長兵衛商店本館(武田製薬工業道修町ビル)
旧武田長兵衛商店本館
帰りに通りかかった武田のビルは改修中でした。シンプルながらもタイルのレンガ色と1階部分の装飾が上品です。
武田製薬は1781年(天明元年)、初代武田長兵衛が道修町2丁目で薬種仲買仲間として独立したのが始まりだそう。道修町は今でも製薬会社や薬問屋が多く、漢方のお店なども見かけました。
設計した片岡建築事務所の松室重光は片岡安の同級生で、武田薬品関連の建物を多く手がけました。
京都だと彼の設計はハリストス正教会聖堂、京都府庁舎旧本館などがあります。

(建築データ)
竣工 :1928年(昭和3年)
所在地:大阪市中央区道修町2-3-6
設計 :片岡建築事務所(松室重光)
施工 :大林組 
構造 :鉄筋コンクリート造3階、地下1階(後年5階に増築)

●塩野義製薬本社
塩野義製薬本社前代の建物の一部が残されています。
かつての建物は台湾総督官邸(現台北賓館)、旧朝鮮総督府庁舎を手がけた野村一郎が設計、1924年(大正13年)に竣工しました。
現在の建物の柱は前のデザインをシンプル化したものになっています。

ちなみに、こちらは大阪薬科大学発症の地でございます。


(今日のおまけ)
2,3年前(?)、京阪のフリーペーパーで「京阪沿線に洋風建築の粋を見る」という連載があり、それにあわせてスルッとKANSAI(プリペイドカードのこと)が販売されていました。たまにしか関西には行かないので全種類は買えませんでしたが、今回の生駒ビルヂングとその1で紹介した図書館バージョンはゲット。

スルッとKANSAI

(参考文献)
大大阪モダン建築大大阪モダン建築
(2007/10/20)
不明

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