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2013.07.05
●東華菜館(旧矢尾政 京都市下京区)
東華菜館で食事をしました。京都へ来ると四条には必ず行くので、外観はいつも見ていますが、中に入るのは約10年ぶり。
こちらの建物はもともとは「矢尾政」という西洋料理屋さんでした。その「矢尾政」もさらに遡ると料理屋ではなく、もとは八百屋。そう言われれば八百屋っぽい名前ですわ。で、八百屋だったのに、明治20年ごろ何故かカキ料理店をおっぱじめ、それから10年ほど過ぎて、すき焼きブームに押されると今度はビアレストランに変身。なんかこの経歴、節操ない感じです。
昭和16年、大東亜戦争が始まると、食材が入手しづらくなったり、敵国の料理の店ということで、レストランの存続自体が危うかったりと冬の時代を迎え、つい閉店。
矢尾政二代目・浅井安次郎は友人の中国人料理人・于永善氏に建物を託しました。文献には託すと書いてあるだけで、売却したのか譲ったのか、貸したのか、その辺がよく分かりませんが、終戦後の昭和20年末に現在の北京料理店「東華菜館」がオープンしました。
設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズなのですが、彼が宣教師でもあったため、禁酒禁煙を信条とするクリスチャンに依頼するならと、ビアレストランではなく、ただのレストランとして設計を頼んだのだとか。ヴォーリズさんはそこらへんはあまり気にしなさそうですけど・・・。
見所はなんと言っても、正面入口入ったところ。スパニッシュバロック様式です。様式のことはまだまだ分からない自分にでもすぐ分かるほど濃いバロック。そういえばスペインに行ったとき、行く先々の教会の装飾の濃ゆさに(首だけの天使がいっぱいいるとか)食傷気味だったけど、今思えば、あれがスパニッシュバロックだったのか・・・。
食事をしない人でも見られるのでじっくり見てほしいですが、テラコッタのレリーフがめっさ気持ち悪い!
外壁の羊とかホタテ貝とかはまだいいのですが、扉の上のタコなんかはグロイ!! 本物のタコっていうより、エドウッドとかのB級ホラー映画に出てきそうなタコ(ホラー映画は怖くて観ないので想像でもの言うてます)。脇のイルカらしきものもヘンな足みたいなのがついててキモイ。
ほんと、めちゃくちゃインパクトある建物ですわ。
ヴォーリズは一体何を思って作ったんだか不明。でも、おちゃめな人だったという気がしてならないので、妙に納得できるような。。。
こちらでもう一つ有名なのは手動式エレベーター。時計針式フロアインジケーターがなんともレトロ。
銀座の奥野ビルの手動式エレベーターなんかも現役ですが、こちらはお店だけあって運転手さんが操作してくれます。しかも現存する日本最古のもの(大正13年(1924)米国OTIS社製)。
3月に訪れた大阪の生駒ビルのエレベーターは、最後の頃、壊れかかって階と階の間で開くようになってしまったと言ってましたっけ。日々のメンテナンスには常に配慮しているそうです。
このエレベーターにのって4階へ。以前両親と訪れた時は別の階のもっと洋風な個室だったような気がしますが、4階は中華料理屋になったあとに照明をとりつけたのか、中国っぽい内装。
先客は1組だけ。しかもすぐに出て行かれたので、広い店内貸切状態でした。
あれこれ選ぶ余裕がなかったので、コース料理にしましたが、うーんこれはちょっと失敗だったかも。
お店のスタンスとしては、長い歴史を持つだけに、親子三代楽しめるような変わらない味だったり、少しずついろんなものを食べて欲しい、というような感じみたいなのですが、変わらないというのが、半分、古臭いに足突っ込んでます。味も見かけも。
途中、エビチリ的な味付けもあったものの、全体が北京料理だから当然かもしれないけど、塩味ベースばっかりでちょっと飽きるし、個々の盛り付けをみれば、ニンジンを花や蝶に細工したレベルの高さを見せながら、全体的には華がない・・・。
食材自体もすごくいいし、湯葉や鱧といった京都らしいものも取り入れているのに、なんか残念。。。
あと、コース料理だとサービス料が10%かかるという、ちょっと変わった体系。ただサービスは見合ってないです。フロアの女の子は中国人でイマイチ会話が通じないというのを割り引いても、どうも気が利かない。おぼこい感じは嫌いじゃなかったけど、お金取るなら、いつまでも山村の素朴な娘っ子みたいなままじゃいけませんわよ(と、無愛想なわたくしが言うのもなんなんですが)。
多分、昔ビアレストランだったという思いも込めて、ビールと春巻きを楽しむくらいの使い方がいいのかも。
父は学生のころ、よく教授と屋上のビアガーデンへ行ったと話していたので、今度来るときはそのようにしたいと思います。
(参考文献)
モダン・シティー・KYOTO―建築文化のカタログ都市 (1989/10) 京都建築倶楽部 商品詳細を見る |
新版・京都の洋館 (2009/06/01) 藤原安紀子、サカネユキ 他 商品詳細を見る |
(今日のおまけ)
京都のお寺で拝観できる所は8~9割方行ったと思ってましたが、両足院は完全にノーマークでした。
庭に半夏生(ハンゲショウ)というドクダミ科の植物が群生するため「半夏生の寺」とも呼ばれ、この時期、1ヶ月間だけ特別拝観できます。
半夏生は虫たちを誘うために花のまわりの葉が半分ほど白くなることから「半化粧」とも呼ばれているそうです。白い葉が庭園の色彩を決めるほどの群生で見ごたえがありました。
平成25年度 建仁寺塔頭両足院 初夏特別拝観
【題】半夏生の庭園特別公開
【期間】6月8日(土)~7月10日(水)
【料金】大人600円 中高生300 小学生無料
【時間】10時~17時(16時半受付終了)
【茶室特別公開】国宝・如庵写し「水月亭」特別拝観
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京都市下京区エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
ケノーベル エージェント 2013/07/05 Fri 09:05
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