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門
※今年は曇りだったので去年の写真を中心に掲載しています(太鼓のは今年の)。

門 左
年に一度の千葉刑務所矯正展へ行って来ました。ここ何年かよく行っているのですが、今年はレイアウトが大きく変わり、中庭は飲食系の出店や雑貨&ワークショップ、門の外に矯正展の物品が売っていました。塀沿いの花・野菜・古着などの販売は例年と同じでした。

門 右
たぶん来年は来ないかもしれないと思ってちょっとがんばり開場時間の9時半に行ってみたのですが、(買い物ではなく)刑務所見学の列は既にかなり並んでいて、この時間帯ではもらえる整理券は1時以降のものだったようです。午前中の見学希望の場合、かなり早い時間に並ばないと難しそう。

門
門
こちらの建物は1907年(明治40年)に竣工。明治の五大監獄(千葉・金沢・奈良・長崎・鹿児島)で唯一現役の刑務所です。
と言っても現存は門と本館のみ。藤森先生の『建築探偵東奔西走』には事務棟の写真も載っていましたが、この30年で失われたようです。

本館 全体
・当初監獄は寒川片町にあったが、湿度や潮風で監獄に病気が蔓延しやすかったため、台地で乾燥した現在の貝塚町へ移転された。

本館 中央
・設計者の山下啓次郎は明治35年、司法省の営繕課長に就任し、監獄建築視察のためヨーロッパへ

本館 サイド
・明治24年から工事が始められ、当初は29年に完成予定だったが、日露戦争の影響もあって工期が遅れ、明治40年の完成となった。

塔
五大監獄はどれも立派な造りだったようです(長崎・鹿児島は正門のみ現存)が、その背景には治外法権(とりわけ治外法権)の撤廃に向けた目論見があったようです。
藤森先生曰く「監獄が文明度の物差しだった」そう。以前、林修先生の『初耳学』で奈良刑務所が取り上げられた時にもちょうど同じことを言及していました。
幕末に結んだ不平等条約を早く撤廃するには日本が欧米の国々と対等なレベルであるとアピールしなければならなかった訳で、そのうち有名なものが(失敗だったけれど)鹿鳴館だったりしますが、どうやら対等基準の一つにあげられるものとして監獄があったようです。
当時の日本の監獄と言えば木造で冬などめちゃくちゃ寒く、火事のときは身の危険もある人権無視ムシ施設でした。これを西洋の建築で立派に造り防寒や採光・風通しなど囚人の生活に配慮した文化レベルの高いものにすることで「法治国家」日本をアピールそうです。

側面
ちなみにこの時の初耳クイズは「監獄をオシャレにしたことで犯罪が激減した」のは何故か、というかなり分かりにくい出題した。答えとしては、従来の日本の監獄ではひどすぎて、こんなところに自国の民を入れるのは許せん!→だから治外法権は撤廃できない→いつまでたっても犯罪を犯す外国人を取り締まれない→なら立派でオシャレな監獄を造ってやる!→(その効果もあってか)治外法権が撤廃されて外国人も逮捕できるようになった→外国人のやりたい放題の犯罪が減った・・・ということなんでしょうか。
林先生はこの問題、残念ながら初耳だったのですが、さすがただじゃ起きない男、「構造的にはパノプティコンを思い出させる」と聞いたこともない単語でみなを煙に巻いていました。
なお、パノプティコンとは一望監視施設。千葉ではもう残っていない放射線状の獄舎が奈良には残っていて、2階の中央看守所からだと第一寮~第五寮すべてを見渡せて受刑者を見張るのに適した構造だそうです。

通気口
たくさんの施設が残っている奈良刑務所は2017年3月で刑務所としての役目を終え、2020年にホテルとしてオープン予定です。

●関連文献


●今日のおまけ
五大監獄に関して有名なここと言えば、すべての設計を手掛けた山下啓次郎はジャズピアニスト・山下洋輔のおじいさんだということ。その祖父や鹿児島刑務所のことを記した『ドバラダ門』という著書が面白いそうなので機会を見つけて読みたいと思います。
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